病棟に入院している70歳代女性の方に、中心静脈カテーテル（CVC）を挿入したときのことです。理由が何だったか覚えていないのですが、右ではなく左内頸静脈からCVC挿入を行いました。その後のことです。型通りにエコーガイド下CVC留置術を行い、確認の胸部レントゲン写真を撮ったところ、カテーテルが通常あるべき気管分岐部右側周囲に向かっておらず、左肺野にまっすぐストンと下りてしまっていました。

すぐに「動脈誤挿入？」ということが頭に浮かびました。CVCが静脈に挿入できていれば体の右側に向かい、動脈に誤挿入していれば左側に向かうというのが常識です。しかし、手技中も動脈誤挿入には注意を払い...