ある日の午前、救急外来から立て続けにCT検査が依頼されていた。私は腹部外傷や頭部外傷に加え、予定の胸部CTや腹部CTを並行して読影していた。複数の検査を同時に開いては所見をまとめ、電子カルテにレポートを入力するという作業を繰り返す。時間に追われる中で、つい確認の手順が雑になっていた。

問題が起きたのは、70歳代女性の腹部CTの読影であった。依頼理由は「腹痛精査」。画像を確認すると、大腸癌の再発や肝転移はなく、回盲部から上行結腸にかけて壁肥厚と脂肪織濃度上昇を認めた。典型的な腸...