医療現場におけるデジタル化は急速に進んでいるが、その恩恵を十分に受けられていない領域も少なくない。特に、医師が患者と向き合う診察時間内に、問診内容をリアルタイムで電子カルテに入力する作業は、患者との対話に集中することを妨げ、医師の負担を増大させているのが現状だ。こうした課題を解決するため、メディカル・データ・ビジョン（MDV）が、音声AIツール「カタナシ」の販売を開始した。これは、診察室から「カタカタ」というキーボードの音をなくすことを目指して名付けられたツールであり、医療の質の向上と医師の働き方改革に貢献することが期待されている。

「カタナシ」の最も画期的な点は、医師と患者の対話を音声認識し、その内容を自動的に整理・記録する機能にある。具体的には、医師がタブレット端末をワンタップするだけで会話が録音され、その音声データが、...