2025年5月30日(金) m3.com AI Lab (エムスリーAIラボ 事務局)
近年、ウェアラブルデバイスの普及は目覚ましく、心拍数や歩数、睡眠パターンといった日常の生体情報を手軽に取得できるようになった。これらのデータは、個人の健康状態のモニタリングや、将来的には疾患リスクの早期予兆検出に活用できると期待されている。しかし、膨大なデータを単に提示するだけでは、医師や患者が日々の診療や健康管理に“使える情報”として活用することは難しい。この課題に対し、テックドクター社は順天堂大学医学部 総合診療科学講座の矢野裕一朗教授と共同で、ウェアラブルデバイスから得られる生体データと大規模言語モデル(LLM)を融合させた新たな医療支援システムの実証事業を開始した。
この取り組みの核心は、LLMが持つ「記憶機能」にある。LLMは、大量の医学論文や一般的な健康情報を学習することで長期的な知識を蓄積するだけでなく、医師や患者との個別の対話履歴や過去の生体データを...